minivelo randonnee field

自然派サイクリストときどきサーファーです。2018年からブロンプトンオーナー。2019年にbirdyのオーナーになってから鈴鹿エンデューロに参戦しました。現在、合計4台のミニベロを所有、ミニベロランドナーで自然観察、登山、キャンプなどアウトドアな活動をしています。是非、Instagramのフォローお願いします。

ギア:登山とナイフ…ナガサ

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藪や雑木が多い日本のフィールドで、海外でよく目にするような大型のナイフを使う場面はまずないといってもいい。ナイフはビクトリノックスのハンターで十分事足りる。遭難したときに1本のナイフが生死をわけるとはいえ、日帰り登山ではナイフこそ持参すれどもなかなか登場する機会はほとんどない。逆にビクトリノックスなどは3回落としてしまい、現在使っているのは3代目になってしまった。

15年ほど前に、登山から渓流釣りへと転じた際に、痛感したのが、なににかけてもナイフがいちばん大事なものだということである。

私は、用途に応じてナタとしても使えるダマスカス鋼の「渓流刀」、そして包丁として使うステンレスの「フィッシングナイフ」の和洋2本ナイフを、揃えて愛用している。フィッシングナイフは砥いでいけば魚をさばくのはもちろん、調理や簡単な藪こぎにも使えて便利なものだ。

このように、登山では調理の場面でしか登場することのなかったナイフが、私のなかではじめて存在の価値をアピールしたといってもよい。

マタギが使う山刀を、古来からナガサと呼ぶ。ダマスカス鋼のナイフでも油断をしていたらすぐに錆てしまい、日本のナイフはメンテナンスが面倒でしかないが、その切れ味と輝く刃の煌き、なんといっても実用に無駄がなく、一度手にすればほぼ一生使えるものである。

ビクトリノックスみたいにワインの栓抜きやハサミ、ドライバーを使うことは普段の生活くらいしかないが、マタギのナイフは1本で山での仕事を全部まかなえるといっても過言ではない。

実は、釣りを始めたとき、いや、学生の頃からマタギが使っているナイフが欲しかった。なぜか?よっぽど実用的にちがいないという単純な理由。

ここ10年の情報化社会でようやくマタギが愛用しているナイフがナタであり、これをナガサということを知った。ナガサを扱っている鍛冶屋もまたネットに参入したという効果を感じた瞬間である。

ナガサはいまなおマタギが生活する阿仁地区で数件の鍛冶屋が扱っている。調べてみると故人となられた三代目西根稔のナガサが最も有名だという情報を得た。

三代目亡きあとも西根打刃物が、マタギ伝統のフクロナガサ(柄が筒になっており空洞の筒に杖をいれて槍として使ったという)を製造販売を続けている。

聞けば、そこの鍛冶師を務めた西根登が現在独立して製造しているという。すでに注文していたナガサをキャンセルして、西根鍛冶店に注文。「だいぶ待ちますよ」との返事をいただいたものの、2週間もたたないうちに宅急便でナガサが手元にとどいた。

購入した長さは7寸で16800円。最も安いのに、実用的だという理由で購入したナガサを実際にながめてみると、非の打ち所のない美しさに魅了されてしまった。価格は、おそらくほかとは違って工芸品としてではなく、実用品として販売されているが所以であろう。

柄の材質は樫、鞘には天然秋田杉を使っているのだという。秋田杉の鞘はまな板としても使うともいう。鞘には本革のベルトがついている(このベルトがあるのがポイント高い)。おそらくこのような本格使用の鞘はほかでは扱っていない。

20000円を超す価格で取引されるなかで、市場で販売されているナガサよりも40%も安いのはお得すぎる。

安価ではあるが 重量は約328gとやや重い。この重さで藪こぎをするという理由なのであるのでいたしかたないだろう。もっとも勢いをつけて反動と力で枝を斬りつければ3cm~5cmの枝くらいは簡単にはらわれてしまうようだ。所持しているビクトリノックスや渓流ナイフには紐をつけて落とさないようにしている。しかしナガサについては紐は、手から離れた瞬間に重量で回転してしまい、危険になる。

(ここ10年のあいだ、毎年、夏に北上山地の和賀山系に入っているが)いつも地元の人と同じように腰にナイフをさげて山にはいる。6~7年ぶりに山頂を踏むのに、ナガサを腰につけて意気揚々と山頂をめざした。実際のところ、山の神様に対する畏服の気持ちは神様が感じ取ってくれただろうが、昔の経験と同じで、ナイフを使う場面はまったくなく、腰につけたナガサは、ただ重いだけだったという冗談みたいなオチをつけただけだった。もっとも実際に使用すれば手入れはかなりコマメにする必要があるだろうが、いまのところ、私の目の保養になっているだけである。

家にナガサが届いた時、一枚の紙が同梱されていた。「刃こぼれ等、自分で手入れできないときは、ご連絡ください。」~この一文を読んで、ナガサと鍛冶屋のつきあいは一生ものだと実感した。

西根鍛冶店
http://e-shop.kitaakita-meibutu.com/nisinekajiten.html


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